私が20歳になったばかりでのことです。

当時流行していたウォーターサーバーの契約販売の委託会社にて営業として働いておりました。

できたばかりの総勢5名の小さな部署に入社と共に所属しました。

業務内容は、家電量販店内にて特設ブースを設置し、来店するお客様に対して契約販売を行うといったものです。

10時の開店と同時にブースを設置し20時まで営業活動をします。

来店するお客さまに笑顔で水を配り足を止めるところから、その場のトークでそれがいかに素晴らしいものなのかを熱弁し、実際の契約申し込みまでをしてもらいます。

水配りから契約を取ってくるというイメージでしょうか。

日給月給の制度で、1日6千円。時給換算すると、約667円。

残業代が出ることもなく、勤務地は片道1時間ということもざら、週2~3回の事務所でもミーティングと、拘束時間はとても長かったです。

そして、研修は1日目の2時間程度で終了し、コンプライアンスや商品知識、具体的な接客や契約の取り方などは、あとは現場で体当たりで覚えてこいと言ったスタンスでした。

実際にブースを設置する店舗に対しても自分でなんとかしろというのが当たり前です。基本的には一名での入店、営業活動でした。

委託会社のそのまた委託先、二次受だったのだと思います。

こう書くとただのブラック会社なのですが、当時は20歳とまだ若く、社会はこんなものかと思い、必死に歯を食いしばり活動しました。

当時、世間知らずの私にとって、そこには、一人で現場を任されるという「やりがい」は確かにあり、自分自身が鍛えられている期間でありました。

また、出来たばかりの部署の長、つまり私の上司が、非常に魅力的な人物に見えていましたし、その上司が慕う社長はスティーブ・ジョブスのような存在にさえ見えてしまっていました。

営業畑出身で口のうまいその人たちにマインドコントロールされていたところは大きくあったんだと思いますが。

「会社はこの規模まで大きくなる」
「この会社で部署を持ち結果を出し、そして独立するのなら、100%出資する。その場合はなんの会社でも構わない」
「リーダー、メンター、その次には自分自身の部署を持てる」
「それぞれでの会社設立を目指そう!」
「社長になるぞ!」

といった言葉を信じて、そこが自分の目指すゴールだとマインドセットすると(実際はマインドセットされ)エネルギッシュに仕事をすることが出来ていました。

特に、契約まで導く技術を教えてもらったり研究したりて、それが少しづつ修得出来ていると感じた瞬間にはとても喜びと嬉しさを感じていたように思います。

やりがいを感じなくなった原因ですが、会社のルールの一つに、3日連続で3件の契約をとることができたものはリーダーに昇格できるというものがあったので、私もそれを目指し、ついには達成しました。

そうしてミーティングの日が来て、ワクワクしながらリーダーの昇格の発表を待ちましたが、その日にはありません。

次回のミーティングでも発表はなく、結局私のリーダーは昇格なし。

それが入社半年経ったころで、その新しい部署ができてからも半年、そのころには総勢12名と開始当時のほぼ倍の人数になっており、リーダーもすでに3人おりましたので、これ以降には私がやめるまで新しいリーダーが発表されることはありませんでした。

ルール通りの結果を出しても報われなかったので、上司に直接物申しに行ったところ「リーダーをこれ以上増やすためには、あと3人のメンバーが必要、そして人数を増やすためにはこれ以上の結果を出して人数枠を勝ち取る必要がある、これからは5日連続で3件契約を取ったものがリーダーだ」と諭され、むしろここに新しい目標をすげかえることになってしまいました。

そこからはもうエネルギーの悪循環です。

その当時に持てる最大の力を持ってして3日連続3件契約だったので、しばらくするとエネルギー不足に陥りました。

そこでエネルギー不足になった時に「これ以上ここで仕事を続けても技術面、知恵面でも成長ができないし、出世もできない」と限界を感じ、やりがいも失いました。

そこでやめようと思い、上司に相談に行くと、またマインドセットしてもらうことになり(されてしまうことになり)まだまだ自分の意思が足りない、弱い、まだできることはあるんだ、と、また翌朝から現場に行くということを何回か繰り返しました。

それを繰り返して3ヶ月ほど経った頃、営業中に意識が飛びそうな異常な眠気に襲われたり、お客さんの話が全く頭に入ってこなくなったりしたといったことが頻発したので、これはまずいなと思って勇気を出して辞めてしまいました。

上司に会ってしまうとまたマインドセットされてしまうので、その最後は電話で意思を告げました。

ここにブラックな会社の怖さというのも感じると思いますが、自分の限界ギリギリまでやれば自分を成長することに繋がることも私は体験しました。

ですので、反対にやりがいを感じることができないのは、そこまで踏み込んでないから、ということもあると思います。

まずはなんでも力尽きるまでやってみること、やめないこと、そして力尽きたと思ってももう2,3回ほど踏ん張ってみることが大事なんじゃないかなと思っています。

そうすると本当の限界がやって来ます。体と心からのシグナルがくると思います。

そうなったら、潔く辞めてしまうことを忘れないでください。