体調を崩してそれまでの仕事がどうしてもできなくなりました、少し体力を必要とされていたからです。

自宅から通ってはいましたが、時間も少しかかる職場でしたので自宅近くでの仕事があれば、と探していました。

すると自宅から歩いて何分も経たない個人経営の不動産屋で事務を募集していたので、私は喜んで面接を受け運良く働かせていただけるようになったのです。社長と私の二人だけの職場でした。

私は張り切りました。ある程度の年齢にもなっていたし身体も弱い、そんな私が恵まれた場所での仕事ができるようになったのですから。

ただ、これまでとは畑違いの仕事だったので社長の言われるとおりに忠実に働きました。一生懸命にやっているつもりだったのです。

しかし日が経つにつれ社長の機嫌は悪くなっていきました。私に高いレベルの仕事を望んでいたのです。つまり、私は事務員募集していたし面接でもいろいろな要求はされなかったので素直に事務仕事をやっていたのです。

でも社長は言葉には出されませんでしたが、ここは二人だけの不動産屋なのだから慣れてきたのであれば営業して契約までの仕事をしてほしい、と私に望んでいたようなのです。

それに気が付かないまま、社長の機嫌がなぜ悪いのかもわからずに相変わらず私は仕事をしていました。そしてやっと何となくですが居心地の悪さを感じ始めました。

私はあれこれ気を使うのですが、結局社長の想いから外れているのでうまくいくはずがありません。そうやって歯車がずれだしたまま3か月が経った頃「あなた、どういうつもりでこの仕事をしているの?」と聞かれました。

その時は全く社長の心の奥まではわかっていなかったので、何故そんな事を聞くのだろう?と考えました。だけどこれはもしかして私に退職届の提出を迫られているのでは?とようやく気付き始めました。

事務で入ったのにいつの間にか営業までしなけれがならなくなった事について、これでは契約がちがうのではないか?と疑問を感じ、それからは辞めたいと思うようになりました。

どうしよう、と悩みましたね。今辞めても次の仕事を見つける準備もしていない。だけど、これじゃあ私の神経が持ちそうにない、二人しかいないのにこのまま社長の顔を見ながら平気で仕事を続ける事は出来ないと思いました。

そうして悩みぬいた末、入社して1年も経らずでしたが退職届を出しました。気持ちはとても楽になりました。やはり知らず知らずのうちに針のむしろにいたんだと思いました。

自分ではわかっていなかったのですが、何となく社長に気を使ううちに顔色を見ながら仕事をしていた事がわかりました。精神上良くなかったのですね。

まあ私も早く社長の言わんとする事に気が付いていれば良かったのでしょうが、馬鹿みたいに素直に受け止め過ぎていました。ある程度の所まで自分が追い詰められていたのに、一生懸命社長の顔色ばかりをうかがっていたのです。

辞めて1ヶ月くらいたった後、結婚式場の受付の仕事を見つけました。楽しい職場でやりがいもありました。責任のある仕事も任せてもらい「仕事ってこんなに楽しいものだったんだ」と思いました。

もちろん楽しい事ばかりではありませんでしたが、自分の居場所を自分で確保する事が出来てうれしかったのです。不動産屋の社長と一緒にいても得られなかった喜びでした。

今、自分の仕事で悩んでいる方は仕事をしている方なら殆どそうだと思います。楽しい事ばかりと思っている方はほんの一握りではないでしょうか?真剣になればなるほど悩みも多くなるでしょう。しかし仕事をしている自分を生かすも殺すも自分次第です。

私は確かにあの時は社長のご機嫌ばかりが気になっていました。でも結局そうしていたのは自分なのです。いろいろな事を深いところまで理解する力が無かったと、今ではそう思えますのであの社長には人生勉強をさせてもらったと思います。

結果的に辞めはしましたが、その決断も正しかったのだと思います。自分が信じる道に導けるのは自分なのですよね。誰がしてくれるわけでもないのですから。 

仕事を辞めようかと悩んでいる方、時間は限られています。何となく自分を生かす事もできない状態をずっと引っ張っても意味はありませんよ。どこかで切り替えて決断する事も時には大事なのではないでしょうか?