拘束時間が長く、気力と体力の両方必要な立ち仕事である飲食店の調理の仕事は、とにかく黙々と作業しなければならない職業です。

大抵が毎日同じ食材の仕込み作業から調理と盛り付けまで行いますが、季節や集客数の時期に比例して仕事量の極端な変化が急に起こると、それまで長期間同じだった感覚をリセットしなければならない点も大変なのです。

やっと慣れた調理内容が一気に変わったり、期間限定の要望にも応じなければならない、時間との勝負でもある職種なのです。

それに加えて生物相手の仕事ですから、繊細さを磨かなくては、給与が貰えるだけの結果として認められないのです。

自分は調理師でもないのに、調理師免許を持っている人と同じような担当を任されることは多々あり、入社して間もない頃は、包丁や油による怪我の日々でした。

厨房内では怪我をしても怒られるので、怪我をしないよう、それに慣れる3ヶ月ぐらいまでは本当に大変な根気強さが必要で、何度も倒れそうになりました。

自分に後輩ができるまでは先輩から叱られてばかりで、そんな状況でも切り方や盛り付けに美しさが求められるので、いかに技術を高めることが出来るか、その壁を突破するまでは何度も辞めようと思いましたし、入社しては辞めていく人達ばかりでした。

調理の魅力について気付いたのは、入社して半年ぐらいでようやく調理のコツを掴んできた頃でした。

料理長から叱られることも減り、盛り付けが美しく出来上がった時には、自分でも嬉しく満足感を得られるようになりました。

あれだけ苦痛に感じた早朝の準備や深夜の仕込みも体が一連の流れを覚えたことで少しは楽に感じられるようになりました。

自分が動けるようになると、怪我をする頻度も減り、担当の作業が自分でも良くできたと感じる日は、他も一層向上出来るかもしれないという自信がこみ上げてきました。

一度減った失敗は繰り返すことは減る一方で、次から次に仕事が分かるようになった頃には、調理の楽しさを掴んでいました。

最初は怒鳴られてばかりいた厨房だったのが、自分が黙々と作業をこなすようになる頃には爽やかな活気があり、もっと腕を磨きたい、知識を増やしたいという思いが強くなり、寝る間を惜しんで食材の勉強をしたりするようになりました。

自分が料理人としてどこまで成長出来るのかは考えないようにして、毎日の切り方と盛り付けの技術力を上げることだけに集中できるようになると、かなり心に余裕を持って生活できるようになりました。

厨房で働く限り、黙々と続ける作業から逃げることはできませんが、その分、休日に感じる解放感は大きいです。

恋人ができる頃にはプライべ-トでも楽しく料理の話をしたり、生活には欠かせない食品を自分の手で扱う仕事を誇らしく思えるようなっていました。

そして、職人という響きに憧れもあり、このまま調理師免許を取って頑張りたいなという自分の変化に気付くようになりました。

担当社として任される調理内容はまだまだ下っ端の内容ですが、来年、再来年と経験を積むことで、もっと上を目指そうと考えるようになりました。

料理長と同じだけの知識を習得すれば憧れた職人になれるという希望を一心に自分が成長すれば良いだけだと思います。

現在の厨房の環境や勤務時間の拘束が長時間で苦労している人は、どうしたら効率よく自分が動けるようになるのか答えを見つけることが先決です。

大体どこの厨房も同じ悩みを抱えているでしょうから、自分だけ辛いと思うのではなく、先輩たちの最初は辛かったのを乗り越えてきたんだと見方を変えると、自分の未熟さを冷静に捉えることができ、現状の悩みを悩みだと思わなくなります。

任された仕事が出来るようになったもん勝ちです。