私は生命保険の営業をしているサラリーマンです。年齢は40代半ばで課長という役職です。世にいう中間管理職ですね。最近では少子高齢化により生命保険の営業とはかなり厳しい現状が続いています。

昔であれば取引先の会社に新入社員が入ってきたら、一斉に生命保険の提案をしてごっそりと保険の契約をもらうことが当たり前でした。

ところが、最近では自分の将来に希望を持った若者が少ないので、生命保険に加入して人生設計を充実させようなどと考える人はとても少ないのです。そういった背景があり、生命保険の営業とは最近ではとても難しいのです。

当然、会社の業績も思わしくはありません。私の所属している営業部署では営業職員が20名ほどいますが、適正な人数は約半数の10名としても問題はありません。

私は、ある日部長に呼ばれ、部の人員整理につき私が陣頭指揮を取って行うよう指示を受けました。指示の具体的内容は20名の営業職員の内、10名に対し比較的業績が良好である海外生保子会社への海外出向を促すこと、もし海外出向が出来ないのであれば会社を辞める方向に持っていくことという内容でした。

私はその指示に基づき早速人員整理に取り掛かりました。10名の候補者一人ひとり個別に面談をして海外生保子会社への出向を打診しました。すると10名の内、6名は快く引き受けてくれたのです。

彼らも国内マーケットの縮小の厳しさは良く知っていましたし、海外転勤をすることで自身の能力アップを図れることは大いに魅力だと異口同音に言っていました。

問題は残る4名です。家庭の事情などにより海外転勤は出来ないというのです。もし、ここで海外転勤が出来ないようであれば、次は退職を促す他ありません。

私は彼ら4人と時間をかけて今後の道について話し合いました。すると4名のうち不満を持った人間が私ではなく部長に直接、進退について不満を言ったのです。会社として海外勤務を断ったら次に行く部署がないというのは横暴だと主張をしたようです。

すると、部長は何と、海外勤務を断ったら会社を辞めてもらうと決めたのは課長である私であり、会社側や部長が決めた事ではないと返答をしたそうです。

その話を聞いて私は茫然としました。明らかに海外勤務とそれが無理であれば会社を辞める方向に持っていくようにと私は部長から指示を受けたのです。

それを部長は私の一存でそうしているかのように、当の社員達に告げました。私としては部長からはしごを外されたような気持です。私はこの時、会社を辞めたくなりました。

それまで残る4名に対して、親身に話を聞いていましたが、彼らの態度が一変したのです。「課長は私たちにどうあっても会社を辞めて欲しいんですよね?」そう言われたこともあります。

私は彼らが会社を辞めなくても済む方法を探そうと考えていましたが、ここまでくると万事休すです。私は理不尽な会社の指示に嫌気がさしていましたので、自分が会社を辞めるか、もしくは4名にいっそのことストレートに会社を辞めろと宣言をするか悩んだのです。

非常に不本意ですが、私には家内も子供もいますので、現状の生活を維持していかなければなりません。私は4名に対して会社を辞めるように勧告したのです。結果として彼らは私に恨みつらみを言い残し会社を去っていきました。

今回の人員整理により、私は自分が会社を辞めるか4名の部下に会社を辞めさせるかという究極の選択を迫られました。結果として私は自分の生活を守るため部下を辞めさせたのです。

正直、4人の部下を退職する方向に持っていった事で訴訟を起こされることも覚悟をしていました。しかしながら、彼らからは訴訟は起こされなかったので、この点だけはホッとしています。

このお話しをすると、私が非情だと思われる方もいらっしゃると思います。私は自分が非情であるということに反論はしません。けれども私は家族を守るという義務を負っているのです。

その義務を果たすために今回の判断は私自身やむを得ないことだったと思っています。

会社側からの理不尽が指示により悩まれている方も多いのではと思います。その理不尽さのあまり会社を辞めたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

けれども会社を辞めることでご自身の生活や家族を犠牲にしなければならないということをきちんと認識していただきたいと思います。間違ってもご自身の感情だけで判断して、早まって会社を辞めないでください。

その後の生活がとても大変なものになりますよ。これから、会社を辞めようかと検討されている方、是非、私の経験を参考にしてみて下さい。