大学在学中に取得した宅地建物取引主任者(現在の宅地建物取引士)の資格を活かすべく大手不動産会社の営業社員として入社しました。

新卒社員研修では朝から晩まで大声で「いらっしゃいませ」、「おかえりなさいませ」、「ありがとうございます」、「かしこまりました」を連呼する日が1週間ほど続きました。

その間に声が小さい人は「お前は仕事のできなクズだ」、「やる気あるのか?今までたくさんの新卒社員を見てきたがその中でも過去最高に出来が悪いな」等とにかくひどい罵声を浴びせます。

極め付けは「現場に配属されてからはこんなもんじゃすまないぞ。とにかく数字が第一。契約とってこないと朝まで詰めるから、覚悟しておけ」との言葉でした。

頑張って研修を乗り越えてもその先にある未来は明るくないと悟り、早くも仕事を辞めたいと思うようになりました。

カバンひとつで札幌から東京に上京した経緯もあり、辞めたら全てが終わるとの思いもありとにかく迷いました。

母子家庭の母に「俺、札幌を離れて憧れの東京に行く。絶対に大きくなって帰ってくるからさ。それまで楽しみにまっていてね」といった手前、すぐに退職するのも格好つかないなと思っていました。

しかし、このまま続けても心と体が蝕まれ、最悪自害してしまうのではないかとの不安にもかられました。

迷いに迷った結果、私は新卒入社した会社を約1ヶ月で退職する事を決意しました。

周りからは「せっかく新卒で入社した会社を退職するのはもったいない。石の上にも3年とあるように最低でも3年間は我慢しないと」、「そんなんだと、どこに行っても通用しないぞ」、「お前を雇うのに会社はいくらお金を投資したと思っている。そこらへんをよく考えろよ」など様々なお言葉をいただきました。

しかし、あくまでも私の人生。辞めても死ぬわけではないと自分に言い聞かせて退職届けを提出しました。

退職後は1週間ほどゆっくりし、徹底的に自分と見つめ合う時間をつくりました。好きな本を読み、好きな映画を見て、趣味のアコースティックギターを時間の許す限り弾きました。

憧れの東京の街である銀座や新宿、渋谷やお台場を散策して蝕まれつつあった心が晴れていくのを実感しました。

幸い転職先もすぐに見つかり、私は第二新卒の社会人として再スタートを切る事に成功したのです。

おそらく新卒で入社した会社を1ヶ月で辞めたいと思っている方はたくさんいるかと思います。

各々様々な背景がある事でしょう。給料で選んだ人もいれば、やりがいで選んだ人もいれば、家から近いという理由で選んだ人もいるでしょう。

はたまた私のように取得した資格や自分の強みが活かせるといった理由で選んだ人もいれば、親御さんに言われるがまま選んだ人もいるでしょう。

ひとつ言える事は「自分が何を大切にして、どこに向かっているのか」を徹底的に考える事です。

例えば起業に必要なスキルを身につける為に、より経営者に近いポジションで働いて多くの裁量ももらえるベンチャー企業を選んだ人であれば、どれだけ起業に対して本気であるかを再度熟考する必要があります。

ただなんとなくカッコイイから、といった理由だけだと嫌な事が起きた時にすぐに折れてしまう可能性が非常に高いのです。

実は休みが多い方がいいとか、年功序列で安定的な給与が保証されている方がいいなど別の理由の方が自分にとっては大切だった、といったケースも少なくないので再度熟考する必要があります。

そして、辞めたいと悩んでいるのであればすぐに辞めてもかまわないと思います。一度きりの自分だけの人生ですし、「新卒入社した会社を1ヶ月以内にやめるのは違法」といった法律は日本には存在していません。

しかし、会社に対しての尊厳と感謝の念は必ずもっておく事です。自分が採用担当者で信頼して入社させた社員がすぐに辞めたら、恐らく気分の良いのではないはずだからです。

その上で仕事を通じて自分が何をしたいのか、どこに向かっているかを頭が擦り切れる程考え抜き、あとは後ろを振り返る事なく前に向かって突き進めば自ずと道は切りひらけていくと思います。

最後に、死ぬ事以外はリスクではありません。自分に負けず頑張ってください。