私は英文科の短大から新卒で貨物の航空代理店に入社しました。
グローバルな企業で英語を生かした仕事したいと思っていたのですが、配属されたのは輸出業務でした。
毎日大量の航空送り状「Air Way Bill」と請求書を作成するだけの仕事です。
何も考える必要はなく、ひたすらインストラクションに従ってコンピューターにデータを入力するだけ単純作業でした。
小さな貨物を出来る限り集めて効率よくコンテナに詰め込むという「混載」をメインにしていたので、1日の出荷件数が100件以上にもなることがあり、全ての取引に関して送り状を作成しなければなりませんした。
しかも航空便はスピード重視ですので、翌日の出荷に間に合わせる為に夜遅くなって営業から送られてくるインストラクションを待つ日々でした。
ただ目の前の仕事を文字通り右から左に流すだけ、自分で考えてする仕事は何もなく、部署の全員で同じ仕事をするので全くやり甲斐を感じられませんでした。
せいぜいコピーの取り方とコンピューターのタイピングが早くなった位で、大勢の派遣とアルバイトと一緒に仕事をしている状態だったのです。
私は英語を生かすチャンスはなくても、せめて自分の仕事を持ち、色々と工夫しながら進めていきたいと思っていました。
1年経っても同じ状態が続き、さすがに向いていない、辞めたいと思う様になったのです。
当時私が勤めていた会社では、社員が仕事に対する要望を書いて上司に提出するという試みが行われていました。
私はその機会に異動したいという希望を提出しました。
1度目は「営業で空きが出たら異動できるけれども、今のところ空きがない」と言われました。
そこで半年待ってもう一度異動したいと上司に伝えました。
しばらくして或る日急に上司から呼ばれて「異動が決まった」と言われたのです。
私は晴れて営業に行けると喜んでいたのですが、異動先はなんと「本社経理」でした。
経理など今まで経験したことも無い分野で、しかも私は大の数学嫌いでした。
流石にショックで口もきけない状態で、いっそ会社を辞めてしまおうと思いました。
しかし一度顔見せに本社経理を訪れた時に、当時の経理部長と面談して、その人柄に惹かれて経理部に行くことを決心したのです。
始めは貸借など全く分からない状態でしたが、出納伝票を起こすことから始まり、ゼロから教育して貰いました。
段々と仕事を覚えて行くに従い、経理というものの奥深さと楽しさを知る様になりました。
3年も経つと原価計算を任される様になり、自分で一つの勘定を管理できるまでに成長できたのです。
現在仕事が向いていなくて辞めたいと思っている人も多いことでしょう。
しかし会社を辞めても次に自分の理想通りの仕事が見つかるとは限りません。
まずは今の会社に居ながらできることはないか考えてみることが大切です。
自分で仕事に対して興味を持つ様にしていき、そこから資格を取得するなども良いでしょう。
また、今の仕事自体が生理的にダメというならば、会社に異動願いを出してみることも一つの方法です。
同じ会社でも部署により雰囲気が全く違い、居心地が良くなることで仕事が楽しくなる可能性もあるのです。
転職をする時にも、今の会社でどこまで自分なりに創意工夫をしてきたかががアピールポイントになります。
出来る限りの努力をしたけれどもどうしても自分の希望通りにはならなかった、その様な理由があれば、面接を受けても伝わるものです。
異動先で思わぬやり甲斐を見つけて、私の様に天職に巡り合える可能性もありますので、まずは今の部署から離れることを考えてみましょう。
多くの会社では定期的に個人面談がありますが、中小企業でそれがない場合には、上司との飲み会のチャンスがった時にさりげなく「スキルアップの為に他の部署での仕事もしてみたいです」と言ってみて下さいね。