介護の仕事に興味があり、もともと勤めていた会社を辞め、老人施設で介護の仕事に転職しました。

周りの人からは「オムツ換えとか臭いが大変なんじゃない?」や「誰でもできる仕事だから将来性無いんじゃないの?」など心配されましたが、それも承知の上でした。

早速、家の近所の介護老人保健施設に面接に行くと、無資格無経験の私に対して、施設長は「よく来てくれました!」と大喜び。

これほど必要とされているのであれば働き甲斐があるなと思い、俄然やる気が湧いて来ました。

そして入職初日。職員さんは介護の仕事を志しているだけあってとても穏やか。

優しく丁寧に仕事を教えてもらえました。

全くの素人でしたが、少しずつ仕事を覚える事が出来、私の選択は間違えていなかったんだとその時は思っていました。しかし1ヶ月ほど経過した時、問題が発生していました。

仲が良かった職場のように思いましたが、私には分からない中で、事務所と現場の隔たりがあった様子で、一気に5人のベテラン職員が退職して行きました。

当然、職場は大混乱。通常なら3人で回さなければならない時間帯を1人で回したり、有給を解消して勤務に変更しないといけない状況に追い込まれました。

それまで私は新人気分で仕事をしていましたが、そう言う訳にはいかない状況になり、仕事を十分に覚えた訳ではないのに、ほぼ全ての仕事を1人でする事になりました。

介護技術も見習いレベルの中、排泄や食事、入浴など分からない事を誰にも聞けない中で仕事をしており、「本当にこれで大丈夫なんだろうか?」と常に疑問がありました。

またそんな中で仕事をしていると、ミスもあり、時には高齢者に怪我を負わせてしまう事もありました。

幸い家族様が理解のある方だったので、事なきを得ましたが、一歩間違えたら命に関わるかもと恐ろしくなりました。

また自己流の介護技術では、当然身体への負担も大きく、慢性的な腰痛を発症してしまいました。

欠員分を補充する為、事務所は介護職員を募集するのですが、応募がほとんどなく、たまに応募があっても2、3日で退職したり、経験のない人ばかりで戦力にはならない状態でした。

下手に仕事のやり方を覚えている職員ばかり負担が大きくなり、残業も毎日のようにありました。

そんな状態で勤務していると、自分の想像していた介護の仕事とはかなりかけ離れているなと疑問を持ち始めました。

しかし、一度心に決めた事なので、今は辛いけど、人員が揃えばまた良い状態になると信じて勤務を続ける事にしました。

そんな中、私の中で介護の仕事が向いていないと感じ、退職を決意する瞬間が訪れました。

忙しい中で、肉体面だけでなく精神面も蝕まれ続けていたある日、認知症が強く、暴言や暴力が激しい利用者様のオムツ交換をしていました。

本当なら2人で対応しないといけないのに、その時は人員不足で1人で対応しており、暴れる利用者様に声を掛けながら何とか頑張ってオムツ交換をしていました。

すると利用者様が排泄物を手に付け、私の体に擦り付けて来たり、「お前何やねん!お前いつか殴ったるからな!」と暴言を吐いてきました。

その瞬間、私は頭に血が一気に登り「うるさい!大人しくしろ!」と大きな声で怒鳴りつけてしまいました。

その後、冷静になり「酷い事をしてしまった。このままではいつか大変な事を起こしてしまうかもしれない。もう辞めよう。」と決意し、その翌月に退職しました。

もし現在、勤務している仕事が自分に向いておらず、精神的に追い込まれている方がおられたら、無理をせず、退職するという選択肢も考えた方がいいと思います。

普段は冷静でも、時に自分でも考えられないような一面が出る事もあります。

大変な状態になる前に、1度考え直して見てはいかがでしょうか。