ライン作業はある程度のスピードは要するけれど、作業自体の難易度は決して高いものではありません。

私は器用とは言えませんが、不器用というほどではないので今までにもラインでの作業経験はありました。

ただ、その工場では他にはない「気遣い」を求められたのです。

例えば、ずっと離れた作業の人の部品が不足をしているような場合には「必要ですか?」と声を掛けるというもの。

もちろん、新人の私にだけ求められるもので他の先輩たちはしていません。

作業終了後に別の作業場所のゴミ箱がいっぱいだったら次の日に私が叱られます。

それまでの職場では自分の作業効率をどんなふうにすればアップできるのかを考えなさいという指導は受けましたが、他の人を思いやることまでは求められたことはありません。

作業とまったく別の要素が足りないということで休憩時間に入る度に誰かしらの叱責を受けました。

でも、私はその人たちの満足度を満たすことができなかっただけで、ライン管理をしている人からは「慣れているみたいで任せられるから安心」という褒め言葉ももらっていたくらいです。

どうしても私が特別に至らないということとは思えませんでした。

それでも言われれば、「申し訳ありませんでした」と謝り、「気を付けます」を連呼。

実際にギリギリまで作業効率を下げていると意識しながら、先輩たちの要望に応えようと努めたのです。

ただ、そのためにフロアを行ったり来たりすることで、別の人から「邪魔!」とクレームを受けることとなりました。

自分自身でも不要な往復だとは感じていましたが、行ってみなければ先輩の状況を把握することはできず、ゴミ箱がいっぱいなのかどうかもわかりません。

気を目一杯張って、頑張ろうと自分を叱咤していましたが、そのせいで誰かの邪魔になっているとは。

動かないと使えない者扱い。動いたら邪魔者扱い。

何をしても逆効果で、私が叱られている時には他の人もいい気分でいられるはずがありません。

「また叱られている」「あれだけ注意されるのって、どんだけ鈍くさいの」と思われているはずです。

職場での視線が辛くなる一方でした。

本当にどうしていいのかわからず、委縮してしまうばかりで、こんも仕事は向いてないんだなと悟りました。

それからは「辞めたい」という気持ちが日に日に心の中で大きくなっていきました。

ついに3か月後。ラインの責任者の人には別のラインに配置換えするからと引き留められましたが、辞めることにしました。

配置換えになったとしても私のことは工場中に噂になっているような気がしたし、何よりも私の状況に理解を示して愚痴を聞いてくれる同僚や友人がいなかったので、踏ん張りきれないと考えたからです。

誰かに上手く愚痴って「ま、仕事ってこんなもんだよね」と吐き出せたら、辛さも飲み込めたかもしれません。

でも、そう人に恵まれなかった私には辞めるという選択肢が一番に思えたのです。

もしも、今現在「辞めようかなあ」と思っているならば、一緒にそのことを愚痴れる人がいないか周囲を見回してみてください。

本当に仲の良い友人であったとしても工場内の状況を把握していない人ではあなたの辛さを正確に理解するには至りません。

「どんな仕事だって結局は大変だよ」と頓珍漢なアドバイスを言われることも考えられます。

本当に些細なことでも自分では受け入れられない嫌なことってありますよね。

そのことを共に愚痴れる人に吐き出すのが最大のストレス発散となるでしょう。

そういった人が職場にいないとわかった時点で辞めることを視野に入れても遅くはありません。

そして他の働き口を確保するように動きましょう。

もしかすると今以上に待遇のいいところはないかもしれません。

意外に同じような待遇で雇ってくれるところは多いのかも。

心的なストレスを抱えて働くのって本当に大変なんです。

生活のための就業でも、譲れないことがあったら辞めても負け組とは言わないものなのですから。