私は看護師としての経験は、約12年になりますこれまでは内科や外科系の病棟にもいたので、点滴や採血といったことは一通りこなしていました。

またその間には、臨床指導者も経験し、学生に採血の仕方や点滴の仕方を教えることもしていたほど。

そのため、私は決して、患者に針を刺すということが嫌いではなかったし、むしろそこにやりがいを感じていた部分があります。

しかし半年前に訪問看護師に転職をしたのです。それは子育てや仕事の場所を考えて、日勤のみの働き方が良いと思ったので、訪問看護師に転職をしました。

そこで自分の出来ると思っていた採血や点滴といった血管確保をする能力が全く通用しないことに愕然としました。

またその仕事が出来ないことでみんなに迷惑をかけることが多かったので、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

その出来ないことというのは、ずばり血管確保、つまり点滴です。訪問看護というのは、在宅に訪問して医師に指示されたことを行う仕事です。

もちろん点滴が必要という場合には、点滴も在宅で行います。この点滴を行うというのは、決して数が多いわけではありません。

しかし大切な薬を点滴するという指示が出されることも少なくはありませんでした。

訪問看護師になって思ったこと。それは病棟で働くのとは全く違うということです。また病棟で点滴をするのとも全く違うということです。

在宅診療を受ける人の中には、高齢者も多く、ターミナル期の患者も少なくありません。

また脱水が続いていて点滴がさしにくいという場合は、せん妄などがあり、せっかくさしてもすぐに抜いてしまうという人も少なくありませんでした。また訪問看護を必要とする人たちは、みんな血管はもろく、点滴をとてもさしにくかったのです。

もしもこれが病棟であれば、選手交代で、別の看護師に変わってもらうことも出来たでしょう。

しかし在宅というのは一人で訪問するので、簡単に交代が出来ないのです。またもしも誰かに交代をしてもらう場合は、訪問看護ステーションから別の看護師を呼び出して来てもらうことに!

また看護師がみんなではらっていたら、誰かが来るまで待っていなければならないので、自分の仕事もどんどん遅れをとる!など、点滴が出来ないということは、患者、家族、そしてほかのスタッフにも迷惑をかける致命的なことだったのですね。

そんな状況は、毎回師長には報告をしていました。その状態が一カ月くらい続き、同じ患者の点滴を何回か失敗して、私は看護師長に呼び出されました。

怒られるのかと思ったら、そうではなく、練習台になってあげるからという申し出でしたね。それから、私は師長の腕を練習台に何回か実施してみました。

それからその患者のところに行くときには、看護師二人体勢で行くことになったのです。私がその患者を訪問するときだけ。

そのためもしも私が失敗しても、もう一人の看護師がきっと点滴をしてくれるという安心感があり、私は思いきってチャレンジすることが出来たのですね。

現在は点滴をさすという状況にも少し慣れてきたような気がします。それはもちろん練習して自信がついたということもありますし、回数を重ねてコツを覚えたという理由もあります。

点滴が入らないということは、患者にも看護師にも迷惑をかけることなので、始めはとても悩みました。しかし今思うとあきらめずによかったと思います。

なぜならやはり何事も経験だし、それをクリアしなければ、訪問看護師として成長できないと思ったからです。

点滴が出来ないというくらいでやめようと考えなくてよかったと思っています。それは訪問看護の楽しさがわかってきたからですね。

私は仕事が出来なくてもまだまだ続けたい、そのためにできないことはクリアしていきたいと思いながら、仕事に励みたいと思っています。