入社して10年以上書類の審査の事務を行っていました。毎日数百件の書類とにらめっこしながら、制度に適合しているのか、許可はできるのかと審査やチェックを行っていました。

晴れて係長に昇格。仕事の内容は、書類の審査ももちろんですが、他の部署との連携、部下の指導とりまとめ、他社との打ち合わせなど、書類審査だけでない仕事も行うようになりました。

すると、仕事量が自分の許容量をオーバーし、限界を感じるようになりました。

ほかの人は平気でこなしているのに、なんで私はできないのだろう。実力が足りないのではない、仕事ができない人間なのではないかと悩むようになりました。

しばらくそのように悩む日々が続いて、精神的にも参ってしまいました。

その悩みの中で思いついた解決法は、自分は何が得意で何ができるのだろう。逆に苦手なものは何だろうと分析することでした。会社は私1人で動かしているわけではない。あくまでチームとして動いている。

サッカーで言えば、ゴールキーパーが得点をとる必要はないし、監督がフィールドプレイヤーをやる必要もない。私のポジションはどこなんだろうと「考えるためです。

冷静に過去を振り返り、ミスしやすかったこと、やっていて楽しかったこと、やりがいの感じたことや褒められたことをノートに書き出しました。すると、自分自身というものを理解できるようになりました。そして、書き出した項目を分析し、たどり着いた答えは「できないものはできない」と思いました。

超一流のスーパーマンではありませんので、能力的に他者に遅れをとる部分はあります。そこを「あの人の○○の部分にはかなわないけど、○○の部分では私のほうが上だ」ということ探りました。

運がいいことに同じ部署には係長が3人います。3人それぞれの特徴も同時に分析し、答えを探しました。3人がみんな同じ仕事をする必要はないのです。お互いの足りない部分をフォローして、1つのチームを作ればよい、それが組織だと考えました。

3人の特徴を分析し、1人は絶対的な豊富な知識を持っているけれど、事務処理が苦手である。もう1人は、事務処理の速度は早いけど、寡黙で人付き合いが苦手である。

そして私は、知識も事務処理の速度もほかの二人にはかなわないけれども、人付き合いがよく、周りからも慕ってもらって、人前でしゃべったりすることが得意であると分析を行いました。

この結果により、自分のやるべきことが明確に打ち出され、内部の調整という部分と対外的な調整について特化して仕事を行うように心がけました。

そうすると、その考え方に気づいたのか、上司もその関係の仕事を私に任せてくれるようになり、その分の苦手な事務作業について処理の早い人へ回すようになっていきました。自分のやりたいこと、得意分野が担当となり、非常に気持ちが楽になりました。

仕事を辞める理由は、人それぞれでたくさんあると思います。そこを無理やり引き留めるようなことはしません。そのまま不安や心配を抱えて、当人が病気になったり、会社に損害を与えたらそれこそ問題です。

しかし、会社というものはチームで動きます。ならば、チームという1つの塊の中で、自分に何ができるのか、何が得意なのか、それを考えて、その仕事が自分に向いてくるためにはどうしたらよいかと戦略を立てることが重要だと思います。

人と同じことをしても組織の中では埋もれてしまいます。影の薄い存在になってしまいます。他人と違うことをやれば、会社内からも見直され、評価も上がります。

何より好きな仕事が担当となり、回ってくるような展開になってしまえば、仕事ができないなんてことは思わずに、楽しいと思いながら仕事を行えるでしょう