私は建築系の大学を卒業し、設計の仕事がしたいと思い3年生の後期頃から設計事務所での就職を希望していました。

しかし私が就活していたのはちょうどリーマンショックの頃で、就職先がほとんど無い時期でした。

そんな中なんとか自分で設計事務所を見つけて就職することとなりました。

そこは個人経営の設計事務所でいわゆるアトリエ系の設計事務所。従業員は5人程度で、マンションの一室を事務所にしているような小さな会社でした。

代表者は40代の男性の建築士さんで、その方も若い頃設計事務所で仕事をし、独立して事務所を開いた方でした。

私はそこで設計の補助作業をしていましたが、小さな事務所なので、私用の机もなく、ミーティング用のテーブルで、しかもパソコンも準備してもらえず、いつもパソコンは私のものを持参していました。

事務所の雰囲気はというと、とにかく仕事に追われている感じで、特に代表者の方は一切笑顔を見せず、私のような従業員にも一切仕事以外のことを話すことがなく、定時は9:00から18:00でしたが、その間はずっと息の詰まるような職場環境で、唯一の息抜きは昼休みに公園に行って、一人で弁当を食べる時だけでした。

学生の頃はあんなに設計が楽しかったのに、実際に仕事となるとこんなにも辛いものなのかと思いました。

最初の2週間頃から職場での雰囲気に馴染めず、すでに限界に近かったのですが、私のリミットが切れたのは最初の給料の時でした。

給料明細を見ると「10万円」ぴったり。新卒でもこの給料が低すぎるのはわかり、そこで私は退社する決心をしました。

代表者の部屋に行って辞める意思を伝えると、手を出されることはありませんでしたが、鬼のように説教されました。

人格を否定するようなことまで言われ、泣きそうになるのを必死で抑えていました。それからお世話になった関係者の方々にもその日の内に直接謝罪に行き、全ての謝罪が終わり、退社しました。

普段は自転車と電車で通勤していたのですが、その日は頭の中が整理できず、6時間程歩いて家まで帰りました。

今となってはとんでもない会社だったのですが、たったの1ヶ月で仕事を辞めてしまったことに対して新卒の私は自分を責める思考回路となってしまい、何度も何度も歩いている途中で泣いてしまいました。

確かに入社前に契約内容や職場の雰囲気を確認していなかった私にも落ち度はあったのかもしれませんが、当時は本当に就職難で、就職先が見つかっただけで、浮かれ上がってしまっていたのでしょう。

今考えると給料には何が含まれていたのかさっぱりわかりません。基本給も残業代も、税金は引かれていたのか、年金には加入していたのか、明細というものがなく、ただ口座に10万円が振り込まれるだけでした。

これでは江戸時代の丁稚奉公と同じです。給料の面で言うと、今社会で言われているブラック企業以上の待遇でした。

それから結局ハローワークに行き、3ヶ月後に無事再就職先を見つけ、今でもその会社で働いています。

現在の会社は建築士としての設計の仕事ではありませんが、店舗をデザインができる職業なので、仕事内容的には不満はありませんし、職場の環境も和気あいあいとしており、働きやすい環境です。

給料はかなり安いですが、以前の設計事務所とは違い、税金もちゃんとひかれている明細をくれます。(当たり前のことですが)

以前の設計事務所を1ヶ月で辞めて、現在の会社に就いたことが100点満点の解決策だったのかはわかりませんが、それから私は結婚もして、今は妻と幸せに人並みの生活ができています。

今現在、ブラック企業で仕事を辞めたいと思っている新卒の方へ私からアドバイスできることは、会社を見切るならなるべく早い内がいいということです。

仕事というのは当然学生とは違って遊びではありませんので、厳しいことがたくさんあります。楽しいことより厳しいことばかりです。

しかし、その厳しさを自分で改善できない、その厳しさによって身体や精神を崩してしまうのならすぐに辞めたほうがいいと思います。

あなたのたった一度の人生を楽しくするのか、辛いものにするのかはあなたが決めることです。会社があなたの人生を決めるのではありません。

自分の限界を感じたら、すぐに見切りをつけ、新しいことにチャレンジしてください。

それができるのは若い今のうちです。