私はシステムエンジニアとして働いています。私が勤めている会社は従業員30名程度の小規模なもので仕事の受注は社長が直接行っていました。

ところが、社長には困った癖のようなものがあって弊社にノウハウがない仕事でもかまわずに受注してきてしまうことがあるのです。

当時の私は組み込み系のどちらかと言えばハードウェアよりの開発業務が主だったのですが、ある日突然、社長からネットワーク系のアプリケーション開発を担当するように命令されたのです。

当然、そんな仕事をやったこともない私は断りたかったのですが、社長の命令には従うしかありません。翌日に開発チーム全員で客先に出向き、簡単な顔見せのようなものが行われました。

その場ではお客様から今までどんな業務を担当していたかなどの質問があり、ネットワーク系の業務が初めてである事がわかると「こいつら大丈夫か?」と露骨に嫌な顔をされたことをよく覚えています。

そしていよいよ業務が開始されてからはまさに地獄でした。チーム全員がネットワークの基礎から勉強しながら仕事を進めているため、スケジュールどおりに仕事が進むわけがありません。

毎日終電が終わっても帰宅できずに、帰るときは車を持っているメンバーに送ってもらい家に着くのは深夜の2~3時というのが当たり前でした。

職場でもあまりの進捗の悪さに客先に呼び出されてお叱りを受けると言う日々が続いていました。このときの私は精神的にかなり追い詰められており、「この仕事が終わったら絶対に仕事を辞めてやる!」と心に誓っていました。

そんなある日に、我々の状況を知った社長が顔を出しに来ました。社長は一人ひとりメンバーを呼び出して面談のようなものをしていました。

私は、「自分の番がきたら絶対文句言ってやる!」と思っていましたが、いざ自分の番になると社長が本当に申し訳なさそうな顔で謝っていたのでなにも言うことができませんでした。

それからというもの開発メンバーが一丸となって仕事に取り組むようになりました。とにかく一度受注してしまった仕事を途中で投げ出したりしたら我が社の信用に関わります。

私たちは夏休みも返上して仕事に取り組みました。相変わらず作業効率はとても悪かったのですが、辛いときでもメンバーと励ましあいながら、時には開発メンバー外の人間にも手伝ってもらうこともありました。

そして何とかこの業務の終わりが見えてきた頃に、この会社を辞めることを心に誓っていた私にもだんだん変化が現れ始めていました。

もし今の仕事を辞めて別の会社に就職したとして、これほど心強い同僚に出会えるだろうか?と思うようになっていたのです。

この厳しい業務を通じて開発メンバー同士の絆はとても強いものになっており、このメンバーと離れることが私の中で考えられないことになっていました。その結果、私は仕事を辞めることを思いとどまり、今でも同じ会社で働き続けています。

今回の私と同じように理不尽な仕事や激務に悩まれている方には、まず周りの同僚を信頼して頼ることをお勧めします。

決して自分の力だけで何とかしようと思ってはいけません。

私自身も今回の業務で誰にも頼らずにこの仕事を続けていたとしたら、確実に途中で力尽きて仕事を辞めることになっていたと思います。

そのためにも普段から同僚とのコミュニケーションは大切にして信頼関係を築いておくことが大事だと思っています。どんなに辛い仕事でも仲間同士で協力して作業をすれば大抵のことは何とかなりますし、何年かすれば辛かった業務も笑い話になるはずです。

私たちも会社の飲み会のときなどはこの業務のことで話が盛り上がったりして今となってはいい思い出になっています。