20代の頃、クーポンのフリーペーパーを作成する会社に転職しました。

それまではいつか自分の店を持ちたいという夢のためにダイニングレストランの正社員として働いていました。転職した理由は、勉強のためにたくさんの店を違った視点で見てみたいと思ったからです。

その会社はクーポンのフリーペーパー以外にも、求人ガイドやウェディングガイドもやっているような大きい会社で、社員は支社も合わせると約500人ほどいました。

私の仕事は営業で、主に新規取引先の開拓、顧客とクーポンに掲載する原稿内容の打ち合わせ、原稿の作成、原稿に使用する写真の撮影などがありました。

お客さんは居酒屋、飲食店、ヘアサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンから変わったところではラブホテルやガソリンスタンドの洗車専門店、結婚相談所や占いショップなど多岐にわたりました。

仕事を辞めたいと悩んだきっかけは、顧客とのストレスによる精神的ダメージでした。

毎月営業目標のノルマがあるため、契約を取ろうと頑張るのですが契約を取ったら今度はお客様との打ち合わせが始まります。クーポンを付けて広告を出す理由はもちろん収益のアップが目的なので、当然思うような結果が出ず、収益が大してアップしない顧客もいます。

アップしないだけならまだ良いのですが、なかには毎月の広告費分も取れないほど反響の悪い店舗もあります。

ほとんどの顧客が広告費が安くなる年間契約を選びますので、そういうお店にとっては「どうして売り上げも上がらない広告に毎月お金を払わなくてはいけないのか。」となってしまい、集金にやってくる営業マンは憎い存在に変わります。

集金に行くたびに「こんな広告出すんじゃなかった」「あんた達の口車に乗せられて契約したのが失敗だった」などと言われるようになります。

ある時、クーポンの反響が出ない顧客のところに集金に行くと、お客様は全く反響が無いことに対して怒りながら「こんなものにお金を払うなんて!」と言いながら、お金を床に叩き付け、店の奥の方に消えていったのです。

私は自分なりに真剣に仕事もして、一生懸命反響が出るようにできる限りのことをしているのに、どうしてこんなみじめな思いをしなくてはいけないのだろう、と泣きたくなりました。

仕事を辞めたいと悩みだしたのはそれがきっかけでした。

ですが、地元を離れ一人暮らしをしていて頼る所もなく、仕事をどうにか続けるしかありません。問題を解決するため気持ちを変えることにしました。

お客様に満足して頂けるような結果が出せれば、こんな思いをしなくても済むのだと思い直し、反響が出るように勉強し直しました。

先輩から過去の経験談を聞き、効果のあった反響アップ術を教えてもらったり、広告についての本を読み漁りどうしたらクーポンの反響が上がるか頭をひねりました。そうしてクーポンの内容をこちらから提案させていただき、反響が上がる店舗も出てきました。

しかし、不思議なことに何をやっても結果が出ない店舗もあるのです。

それは正直なところ、店の立地や店の雰囲気、清潔感など営業マンにはどうすることもできないような理由が原因である店舗がほとんどでした。

結局、悩みは解決せず気が付いたら打ち合わせ恐怖症のようになっていました。ちょうどその頃、仲の良かったリラクゼーションサロンのオーナーさんから店で働かないかと声をかけてもらい、結局営業マンを辞めてサロンに転職しました。

サロン勤務は疲れたお客様を癒すお仕事なので、お客様からも感謝されとても楽しく仕事ができるようになりました。

転職は大変エネルギーがいるので、できたら一か所に続けて勤める方が精神的にも肉体的にも負担は少ないと思います。

しかし、今になって思うことはあの時の大変な営業マン時代があったからこそ、今の自分は多少の事ではへこたれない精神力を養うことができたとも思います。ただ、自分は営業職には向いていないのだなという事が、実際に努めてみてわかりました。

必ずしも興味のある仕事が自分に合った仕事とは限らないので、その辺を冷静に見る判断力が重要だと思いました。

転職しようかと悩んでいる方には、今の自分や環境、状況等を冷静に見つめ、つっぱしり過ぎない客観的な目で今後を見つめられることをおすすめします。