新卒で全国チェーンの眼鏡屋に入社し、約6年間勤務しました。サービス業ですから相手にするのは多種多様なお客様。接客パターンはお客様の数だけあるようなものですし、上手くいったやり方が次には大失敗に終わるなんてこともしょっちゅうでした。

それが魅力でもあるので、それを楽しむことで仕事への意欲もわいてきますし、上手くいくイメージを重ねて実践して、の繰り返しでした。

そうやって接客そのものへのこだわり、信念をもって取り組んでいましたが、私は最終的には仕事をやめてしまいました。いろいろ辛いことや大変なことはありましたが、一番辛かったのは自分の思いとビジネスとしての売り上げ確保の共存が難しいと感じたことです。

商売ごとですから、当然売り上げ・利益あってのことです。全国展開するような規模の会社ですから、様々な売り上げに関する目標もありますし、それを達成することで評価につながっていきます。

私が勤めていた会社は当時業績が低迷しており、打開策の一環として利益率のよい自社製品にかなり力を入れていました。

しかし私は、どうしてもその商品を強くお客様にオススメする気持ちになれなかったのです。

商品のデザイン、機能性、金額、どの面でもお客様にとって何よりの魅力とまではいかず、むしろどれかに特化すればその商品を大きくしのぐ商品がたくさんありました。

お客様と話せば話すほど、そのお客様におすすめしたい商品は自社製品ではなく、別のブランド商品だったり、もっと安価な海外製の商品だったりということが多くあり、結局私は会社が強く推す自社製品の販売では全く結果が残せませんでした。

お客様はよい商品を紹介してくれてありがとう、と感謝してくださるのですが、会社からはほとんど評価されない。数字としての結果が出ない。気持ちと結果を結び付けるのは難しいな、と気付いてしまったことが退職の大きなきっかけでした。

結局のところ、解決=退職となってしまいましたが、考え方の面で自分なりに努力はしたつもりです。私は妻もおりますので、自分が家庭をささえていかなければいけないという思いも強くありました。

悩んでいた頃はその思いだけでなんとか自分を奮い立たせ、「これは仕事だ」「自分の理想だけではいけない、結果に強くこだわろう」と言い聞かせ、なんとか会社の意向に沿った仕事をしていこうとも考えました。

しかし私自身の接客へのこだわりを捨てきることはできず、自分の信念に沿った仕事を続けるというのは余計に精神的に辛い状態に陥ってしまいました。

何より、やはりそれまでお客様から信頼を得てきたという自負が強かったこともあり、そのスタイルへの強いこだわりがあったのだと思います。

また、自分にとって大きかったのは妻の存在でした。どうしても辛くなり、仕事を辞めようか悩んでいると、妻に相談しました。

その時点で結婚からまだ1年経っていなく、そんな時期での転職なんてとんでもない、と自分でも思っていたのですが…意外なことに、妻は転職に大賛成してくれました。

聞けば、自分が辛そうに仕事をしていたのは気づいていたとのことでした。自分から、自分のやりたいことを選んで欲しいと言ってくれて良かったと言ってくれました。これに本当に救われたと思います。

やはり、自分の思いと結果、自分の思いと周りの思いが一致しないということはよくあるのではないかと思います。

そのときに自分の信念をとるかどうか、それによってどういう結果になるか、まずはよく考えてみることです。自分の信念を曲げることが果たしてできるのか、できたとしてそれが本当に良い方にはたらくのか、しっかり考えてみることです。

そしてその思いを、身近な誰かに打ち明けてみてください。自分だけでは出せない答え、あるいは実は出ている結論を認めたくなかったでけであった自分、それらに気づかせてくれるのは、いつでも「他人」です。

自分で見る自分の姿と周りが見てくれている自分の姿、そのギャップを知ってみることで意外とあっさり解決することもあると思います。